ナイロン製とダイニーマ製、素材の特性を理解しよう。

店頭で入手できるクライミングで使う用具は全てUIAA基準に適合したもので、正しい使い方をすることで、クライミングの安全性が高まります。ナイロン(ポリアミド)製とダイニーマ(スペクトラ)製の素材特性を知って、自分なりの使うルールを決めてほしいと思います。

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この回ではクライミングシステムには触れませんが、スリングやカラビナなど個別の強度(破断強度)だけでなく、不確定要素の多いアウトドアにおいてシステム全体の安全性を高める知識が必要です。現在、入手可能なダイニーマスリングはすべて専用機械で縫われた「 ソウンスリング 」 です。テープ結び、ウォータベント、ダブルフィッシャーマンズノットなどでつなぐことはしてはいけません。
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どの素材、太さのスリングも22KNの強度がでるように製造されています。

どちらの素材であっても、大きな墜落、衝撃をかけた、表面が融解、酸・グリースなど化学品に触れ痕が残っている、結び目を作って大きな荷重をかけるなどしたものは使わないようにします。

1:ダイニーマのスリングは細ければ細いほど、22KNの性能を出すためにダイニーマ(白い繊維)割合が高くなります。そのため更に滑りやすくなります。これは使いやすさ、コンパクトさではメリットですが、摩擦が小さいのでフリクションヒッチでは滑りやすく摩擦熱で溶融する危険性が高まります。つまり、プルージックやオートブロック、クレイムハイストの用途では「デメリットが大きくなります。だから積極的に使わない方がよいです。

2:ダイニーマスリングには結び目による強度劣化が大きいので、結び目を作らないようにします。つまり、繰り返し折り曲げによる劣化も大きいのです。120㎝のオープンスリングの中間に結び目は作らないようにします。結んで繋ぐこともしてはいけません。
下記にそれぞれの特徴を上げてみました。私の持っているスリングのほとんどはダイニーマ(スペクトラ)製です。その弱点を知って上手に付き合いたいと思います。

ナイロン(ポリアミド):価格が安い。自重の最大4%程度の吸水性があり、強度を低下させます。濡れた状態では最大25%程度の強度低下があり得ます。融解温度はナイロン約220度。
ダイニーマ(スペクトラ):高価である。吸水しないので、それによる強度低下は無い。融解温度は約140度とナイロンに比べて低い。比重が軽く、水に浮く。摩擦が小さく滑り易い。同重量であればナイロン(ポリアミド)の5倍程度の強度を持つので、スリングがコンパクトで軽量化できる。細いスリングはカラビナの強度を最大限に生かすスパイン(背)側に荷重をかけることができる。

昆虫たちの飛翔

真夏の暑さがやってきた5月最終日の六甲山にある河原と草むらの中で昆虫たちを待ち構えてみました。

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高座の滝、その上流にはイノシシが闊歩する河原があります。普段であれば横目で見てサッサと通過してしまうところですが、今日は自分が石になった気で待ち構えて昆虫たちを観察してみました。
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カミキリムシは落ち着かずに動き回ります。
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さぁ、飛翔です。
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登山中に顔の周りを飛び回るブユは勘弁してほしいですが、山々は生き物に満ちています。のんびり歩く山歩きの時、是非、虫たちを見てみてください。山の石から ネパールクーンブ氷河 エベレストBC

ヒマラヤ登山というと、多くの方が 「 エベレスト山 8848m 」 ですか、というくらい有名です。毎年のように多くの登山者が頂上を目指しますが、今日ご紹介するのは、30年前ベースキャンプで見つけた石ころです。標高8000m辺りはテーチス海由来の生物化石もありますが、このような曲がった縞々模様ができるにはどれほどの圧力と熱が加わったのでしょうか。

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ヒマラヤ山脈は、インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突することによりできました。インド亜大陸の北上は今でも続いており、ヒマラヤ山脈の成長も続いている。地球上のあらゆる大陸プレート、海洋プレートはその移動スピードに違いはあっても今でも動いています。
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毎年約4cmとすると、1000万年で400km、5000万年で2000km移動するわけです。ユーラシア大陸にぶつかったインド亜大陸はお互いが大陸地殻の為、密度が同じであるので沈み込めず、ぶつかり合った地殻の皺が盛り上がります。それが東西2400㎞にも及ぶ巨大なヒマラヤ山脈なのです。
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ちなみに日本列島の地下ではフィリピン海プレートと太平洋プレトートという比重の重たい海洋プレート同士がぶつかりながら、ユーラシアプレートと北米プレートという比重の軽い大陸プレートに潜り込んでいます。丹沢山地は伊豆半島の衝突によって圧縮されできたミニチュア版ヒマラヤ山脈みたいなものです。プレートテクトニクスといい、たくさんの書物が出版され、私たち登山者でもわかりやすく解説されています。

私の好きな山。 この夏行きたい山。Vol. 02 「白山」

可憐な高山植物がたくさん咲く夏の白山は余裕を持った予定をたてないと、花と風景に見とれ予定時間をオーバーしてしまう位、私の大好きな山です。7月まであとひと月ほど。今回は白山を紹介します

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多くの登山者を迎える砂防新道と観光新道は交通の便も良くいつも賑わいます。市ノ瀬から登りだすチブリ尾根は長いけど静かな山歩きを楽しめるコースです。
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いつも西からのルートなので、今年は南の石徹白から別山へ、白山頂上から平瀬道を通って白川村へ抜ける道も良いのではないかと思っています。白山山系の避難小屋はとてもきれいなところが多く、いざという時には安心です。
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現在の山頂の火山活動が始まったのは3~4万年前らしいですが、活発な活動は室町時代から江戸時代にあり、白山はごく最近まで活動していた活火山なのです。
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中腹には丸い礫を含んだ手取層が登山道に現れます。この丸い礫は日本列島がまだ大陸の一部にあった頃の大陸に起源があるとか。桑島化石壁などからは恐竜を始め多くの化石が見つかっています。山の帰りに「福井県立恐竜博物館」に立ち寄るのも面白いです。

六甲山北面で イワカガミ を見つけました。

山上に道路が通る六甲山ですが、標高800mを超える山上はブナやイヌブナなどの冷温帯系の樹木も生えています。北面の小さな尾根を歩いて、林床をよく探すと雪のある山地では別に珍しくない「イワカガミ」を見つけました。

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登山道わきの林縁には今、チゴユリ が今盛りです。清楚にうつむき加減の姿は地味ですが、なぜか印象に強く残ります。
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六甲山全縦2DAYS は来週末17日、18日 の二日で開催です。新緑もだんだんと濃くなってきました。日中の気温もどんどん上がりますので、強い日射しを直接肌に受けないようにハットやキャップを被る方が良いと思います。日焼けは長時間となると体中から水分が失われ、体温が上昇してしまうので注意が必要です。

暑さに体を慣らしていこう! 水分補給の巻

ゴールデンウィークは終わりました!先日、奈良の山すそに行ってみると、なんと蝉が鳴いていました。ハルゼミだと思いますが、暑い夏の記憶を呼び覚まさせられました。

氷ノ山_R9288373.jpgシーズン初めの暑さは身体に堪えます。
徐々に体を夏向きに作って、楽しい登山ができるようにしましょう。

さあ、若葉が素敵な時期は意外に短く、これからの5ヶ月間は夏日、真夏日、猛暑日に負けないに準備をして山にいきましょう。
5/17.18は好日山荘90周年六甲山全山縦走イベントが開催されます。ご参加いただく方には近日中に「参加の手引き」が届きますので、よく読んでください。中でも熱中症を未然に防ぐ最強ツールはハイドレーションシステムです。カラダがまだ暑さになれない春先、湿度が高い梅雨はカラダの熱が放出されにくいので、更に注意が必要です。
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5月17日の須磨から新神戸駅まで六甲山を10時間縦走する場合、私は暑いことを想定しておこうと思います。
1: 10時間×5ml×体重64㎏=3200ml これの80%を背負うとすると 2560m lなので、2Lのハイドレーションに水を入れて、アイソトニック飲料を500mlを持っていこうと思います。
2: 出発30分前にアミノバイタル1包を飲んでおきます。行動食に関しては多くは触れないでおきます。
3: かいた汗を小まめに、少しづつ継続的に飲みます。のどが渇いたナァ。と感じる前に飲むのがコツです。
4: 汗でミネラルが失っているので、時々はアイソトニック飲料を飲んだり、行動食、塩飴など組み合わせていきます。
5: 気温が高い時間帯は強い日差しをハットを被ったり、タオルで首筋覆ったりして遮ります。
6: 服装は風抜けが良く吸汗性のあるポリエステル素材を使おうと思います。ウェアについては又、別の機会に。
7: ちょっとした木陰、風抜けの良いところで、バックパックを背負ったまま、立ったままで、数分間休憩をして体温を下げます。
8: もし、雨が降って湿度が上がり、風が弱いときは熱がこもるので、スピードダウンして対応します。

好きな山 行きたい山 Vol.01 「黒部五郎岳」

ゴールデンウィークも終わりました。夏山、3000m級の日本アルプスの計画をたてるのも良いかもしれません。個人的に好きな山を地質や植生などの視点から見所をご紹介していきたいと思います

黒部五郎岳01_DSC00574.jpg第一回は 黒部五郎岳 です。山名の由来はこちらで紹介。日本山名事典によれば鍋岳とも呼ばれていたそうです。氷河地形であるカールの巨大な凹地が鍋の形を想像させたからでしょう。名付けは奥山廻り加賀藩前田家で、絵地図にも鍋岳と書かれています。

富山から折立経由で太郎平小屋にお世話になって、北ノ又岳、赤沢岳の気持ちの良い稜線を歩くと二日目に登ることができます。二日目は黒部乗越の湿原に立つ赤い黒部五郎小舎に泊まると良いかと思います。どの小屋にも指定テント場があるのでテント泊も可能です。
是非注目してほしいのがカールです。
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山体は花崗閃緑岩でできています。氷河がブルドーザーのような丸ノミで谷を削ったカール(鍋底)には緑のハイマツの海に灰白色の巨大な岩石が点在しています。これは「羊背岩」といいます。これも見逃せません。白馬大雪渓上部の「羊背岩」は有名です。
氷河期は7万年前に始まり、氷河期がピークを迎えたのが1.8万年前、暖かくなり日本列島が四方を海に囲われたのが1.3~1.2万年前、などと時間スケールを考えるのも大自然を歩く登山だからこそ実感できることです。
新穂高温泉からワサビ平、双六小屋、三俣蓮華岳を通るコースなら、カールを見てから頂上に向かうことになります。自然観察をしながら余裕を持って歩くならば3泊4日位で楽しんでほしいと思います。高山植物や雷鳥などの生物がこのような自然環境に生育する理由も氷河期にありそうですね。

躍動する命を観察してみよう

西日本の比良山系は日本海側の気候の影響を受ける為多くの雪が積もります。

DSC09662.JPG4月に入ると急激に雪解けが進み、ゴールデンウィークともなると山々は緑に包まれだします。赤坂山に行ってみました。
昆虫たちも忙しく飛び回る季節です。花粉を付けまくって蜜を集める彼らをじっと観察してみるのも楽しいものです。花から花へ順番に移動していきます。一回りすると花にはまた蜜が貯まるのでしょう。
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トキワイカリソウはメギ科イカリソウ属は主に、本州中部以西の温帯、日本海側の山地に生育します。
白花もあるようですが、赤坂山には見られませんでした。葉はゆがんだ卵形から長楕円形で葉の周辺には棘毛があります。葉色は赤味かかったものから黄緑までバリエーションがありました。花の形は確かに船の錨を連想させ、4本突き出ている管状のものはキョ(距)いわれ、花弁やガク(萼)の一部が袋状になって突起したものです。距の中には蜜が分泌・貯蔵され蜜を吸いに訪れた昆虫が頭を突っ込むので受粉が確実に行なわれます。
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植物の昆虫による受粉の仕組みはなかなか面白いものがあります。六甲山に生育する「アリマノウマノスズクサ」も独特の仕組みで受粉を行う仕組みがあります。本物の花を見たらご報告したいと思います。
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