雪の基礎講座

雪は天からの手紙である

W_No_01.gif世界的研究者である中谷宇吉郎の有名な言葉
 地上で降雪結晶の形を見れば、その雪が降ってきた上空の雲の中の状態がわかるという事です。雪の結晶は氷ですが、雲を作っている水滴が凍ったわけではありません。水蒸気が結晶に「成長」したものです。
 雲粒は非常に小さいので、過冷却といって-30度程度まで凍らずに液体のままで存在できます。雲の塊の上部は更に温度が低いので「氷晶」という小さな結晶になっています。これはとても寒いときには地上でも見る事ができ「ダイヤモンドダスト」と呼ばれます。この「氷晶」が過冷却雲粒でできた雲の中を通過していく過程でさまざまな形の雪の結晶ができるのです。

雪の層について

W_No_02.gif積もった雪の断面を見ると積雪が層状になっている。
 地上雪は降ったり止んだりしながら地上に積もります。降る雪は上空の気象条件によって結晶の形が変り、又、降り止んでいる間の地上の暖気や日射で表面の雪質が変化します。風に飛ばされて小さくなった結晶を含んで積もった雪はしっかりした積雪層になりますが、ふわっと積もった雪は空間部分が多くて弱くなりがちです。

雪庇について

雪氷辞典では

W_No_01.gifSNOW CORNICE
 地表面の起伏が緩斜面から急斜面に変化する場所に、風下側に形成される吹溜りの一種。雪庇の先端および風下斜面に、吹雪や地吹雪粒子が付着、堆積しながら成長する。ときにはひさしが片持ちばりのように長く伸び、その巻き込みを伴う。山地の雪庇の崩壊により雪崩の引き金となることも多い。(成瀬廉二)1990年10月1日初版1刷から

大日岳山頂部の巨大積雪地形

W_No_02.gif北アルプス大日岳の雪庇
 日本海の湿った空気と北アルプスによって、大量の雪が短期間に積もる場所に位置する大日岳には「巨大積雪地形」が形成される。不幸な事故が起きた2000年3月以降、度重なる調査によって頂上付近にはほぼ30mを越える吹溜りが形成される事が明らかになった。この巨大な吹溜りによる積雪地形の風下側先端付近にROOFとFACEが形成されるのである。同じ北アルプスであっても、より室堂に近い「奥大日岳」に形成される雪庇とは明らかに違うのである。
 このようにもとの山岳地形によって形成される雪庇形状は様々な形をとるので、積雪期の山に於いては当期の気象・積雪状況のみならず、地形と実際の積雪強度をを十分に考慮しながらルートを決めなくてはいけないのである。